分科会活動報告(NFC)
NFC分科会リーダーの中村です。
NFC分科会の活動報告をします。
(1)テーマ・目的
当分科会のテーマは「NFCに関する知識を習得し、実際にNFCに関する技術に触れる」です。
Suica等のICカードの普及により身近な技術となりましたが業務上触れる事が少ない技術でもあるため、「NFCとは」から始めてNFCに関する知識・初歩的な技術の習得を目的としました。
(2)活動内容
A.NFCに関する技術調査、使用事例調査
先ずはNFCに関する基礎的な知識を学習する所から始めました。
NFCがどのような技術なのか、どのような仕組みで通信をしているのか等の技術調査をします。
また、NFCの使用事例として、身近なICカード以外の使用場面や今後の技術動向を調査します。
B.NFCを使用した社内認証システムの実現性検証
現在、ネクサートの社内システムへのアクセスはUSBデバイスを使用した認証の仕組みとなっています。
USBデバイスの代わりに社員証(ICカード)を使用して社内システムへのアクセスを制御する事は可能か、という検証をします。
社員証の内部情報や構造等の調査から始めて、社内システムへのアクセスを認証するために必要な情報に足りないものは何か等の調査と検証をします。
特段、現状のUSBデバイスを使用した認証の仕組みに不満があるという訳では無く、単に身近な部分から考え始めた方が活動に取り組み易いと考え、活動内容に設定しました。
C.NFCを使用したアプリケーション開発
身近なICカード類から情報を吸い上げPC等に書き出す、というような簡単なアプリケーションを開発し、NFCに関するアプリケーションを開発するために必要な基礎的な情報を収集します。
実際にアプリケーションを作成する事によりNFCを利用したアプリケーションの難易度、問題点等に気付く事が出来ればと思い、活動内容に設定しました。
また、私自身がSuicaの情報を吸い出す仕組みに興味があり、Suicaにはどのような情報が格納されていて、どのように吸い出すのか、という部分に興味があったというのも活動内容に設定した理由のひとつです。
(3)活動結果
A.NFCに関する技術調査、使用事例調査
始めにWeb、書籍からNFCに関する基礎的な技術調査をしました。
比較的普及している技術という事もあり、予想よりも簡単に情報を収集する事が出来ました、というより、長々語るような技術では無く、シンプルな技術だからこそ簡単に情報が集まったのだと思います。
要は短い距離しか通信出来ない通信技術という事になります。
始めは近距離より遠距離の方が便利では?と思っていましたが、調査を進める中でNFCの利点のひとつに通信の簡易性がある事が分かりました。
NFCの通信が可能な機器同士を接触させる事により余計な手間を取る事が無く、通信が可能というのがNFCの特徴になります。
NFCの利用事例としては、ICカード類の他に端末間通信、オフィス内のセキュリティ認証がありました。
これ等の利用事例は正直予想通りの結果となりましたが、意外な利用事例もありましたので紹介します。
最初に紹介するのは観光地等にあるスタンプラリーにNFCが利用されているというものです。
指定の場所、本来はスタンプを押してもらう場所に行くとスタンプの代わりに読み取り専用のICカードのような物が置いてあり、そのICカードをスマートフォンで読み込む事によりスタンプを貰えるというような仕組みです。
今やスタンプを押すのも古くなってきたのだと驚きました。
次に紹介するのはレストランの注文の仕組みにNFCが利用されているというものです。
とあるレストランの席に着くとICカードが設定されていて、それをスマートフォンで読み込むとスマートフォンの画面にお店のメニューが表示され、そこから注文を行えるというものです。
レストランのメニューというのは注文が終わると店員さんが片付けてしまい、追加の注文が頼みにくい、というような事はよくありますが、これなら心配要りませんね。
B.NFCを使用した社内認証システムの実現性検証
社員証を利用した認証の仕組みを検証すべく、社員証の内部情報、情報書き込みの可否等の仕様を整理するところから始めました。
社員証は長い間使用してきましたが仕様を調査したことは無かったため新鮮味に溢れていました。
技術関連の詳細な報告は割愛しますが、社員証を使用した社内認証の仕組みを構築する事は可能という整理となりました。
但し、各社員が社員証から情報を読み出せるよう、専用の機器が必要になる場合があるため、相応のコストが掛かる事にはなります。
尚、技術面としては問題無いとしてもセキュリティ面として欠陥が無いのか、という点も課題となりました。
今回は目途が立ったというレベルの結果となりますので実際にNFCを使用した社内認証システムを構築する事とした場合は多方面に検討を進める必要がありそうです。
C.NFCを使用したアプリケーション開発
開発するアプリケーションのお題は「NFCの技術を使用した何か」とし、実際に何を作るかは各個人に委ねました。
開発したアプリケーションの一例を挙げますと、Suicaの使用履歴を照会するためのAndroidアプリを開発しました。
主な機能は名前の通りとなりますが、NFCを使用しSuicaから使用履歴情報を取得し、端末画面に表示するというものです。
実はこのアプリケーションの完全に上位互換となるアプリケーションが既に存在しています。
上位互換のアプリケーションを始めて見た時に個人がSuicaの情報を取得出来る事に大変驚いたため、どのような仕組みでSuicaの情報を取得しているのか興味があった、というのはこのアプリケーションを作成しようと思った切っ掛けとなります。
実際の開発自体はサンプルコード等が充実しており、Suicaから情報を取得する事は想像よりも難易度が低かったのですが、Suicaに特化した情報が少なく、Suicaから特定の情報を取得しようとするとどのように取得すれば良いのか迷う場面が多々ありました。
また、当たり前の事を失念しており、NFCのリーダーを購入しないと開発が出来ない、という事をアプリケーションを開発するその時に気が付きショックを受けました。。。
(4)総括
今回の活動結果としては当初の計画を概ねクリアする事が出来ましたが、まだまだNFCに関する技術は幅広いため時間を掛けた活動が必要だと感じました。
また、今回はNFCを利用した既存のアプリケーションに触れるという事をあまりしなかったため、有料のアプリケーションを視野に入れ最先端のNFCアプリケーションを使いたいという気持ちが高まりました。
NFCは今後も期待出来る技術のため、個人的にもNFCを利用したアプリケーションを時間を掛けて作成してみようと思います。
以上です。