平成27年度分科会「医療・健康IT」
みなさんこんにちは。 医療・健康IT分科会の高橋です。さて、今回は分科会活動についての報告ですが、そもそもうちの会社って医療とか関係あったっけ?という疑問がある方、安心してください「まったく関係ありません!」。そんな医療やら健康やら超絶ど素人な我々が、「とにかく何かやってやろうじゃあないか」という白鯨に挑むか如く集まったのが、医療・健康IT分科会なのであります。
とりあえずの目標を以下のようにしました。
- 健康アプリの開発
- GHSレベル1の取得
壮大な目的としては、「医療」という白い巨塔に登りたいという思いがありましたが、あまりにも素人集団すぎるため、もう少し身近な「健康」から攻めようということになりました。やっぱり高尾山くらいからいかないと、いきなりマッターホルンは無理なんです!また、アプリを作るだけでは張り合いがないので、「GHSレベル1」適合も目指そうってことになりました。
一般社団法人ヘルスソフトウェア推進協議会によって制定される開発ガイドラインに適合したヘルスソフトウェアに付与されるマーク。適合する要求事項によってレベル1~3と3つのレベルが設定されている。
GHSマークについて
まずは調査でしょ、ってことでチームを2つにわけて活動開始です。
- APIチーム
医療系センサーや健康系ウェアラブルデバイス等を調査するチーム。外部から利用可能なAPIがないと話にならないので、そのあたりも重点的に調査。可能であれば、APIを使って何かちょっと作ってみよう。 - 医療チームとにかく健康やら病気のことを知らなければ何もわからない。センサー等から取得できる情報から判断可能な病気やらを調べるチーム。
で、調査の結果ですが、「うーん」って感じです。いや、結構調べたんですよ。デバイス関連は、海外製品含めて20以上は調べたし。病気に関しても、目の動きや体幹の傾きからわかることとか、生活習慣病とか…。でも結果は「うーん」なんです。理由としては、我々の医療に関する知識があまりにも薄々なためなんですが。
- デバイスはいっぱいあるんだけど、外部APIを公開しているものが意外と少ない。
- APIは公開しているが、取得できるデータを使って何がわかるのか想像できない。
- 頑張って考えたとしても、すでに発表されているアプリみたいなアイデアしか出てこない。
やばいんじゃない?
というわけで、活動の方向性が定まらないまま、中間発表という半期の活動成果を報告するためのイベントが近づいてきました。追いつめられる分科会メンバー。顔には疲労の影が濃く、チーム内の雰囲気も最悪です。このままではまずい!!皆がそう思ったとき。
誰かの口からこんな一言が…。ビビッときましたね。まさに天啓です。そうです、あのメンタルヘルスです。企業内でもチェックが義務化されたりと、昨今話題のメンタルヘルス。そんなに日本人は病んでるの!?と疑問渦巻きまくりですが、とにかくワッショーイな雰囲気です。このビッグウェーブには乗るしかない。いや、是非とも乗りたい。
しかし、メンタルへルスという有望なキーワードを得たとしても、アプリ化するとなると要件を引っ張るための強力な「軸」が必要です。今までの状況だったら再度暗礁に乗り上げることも危惧されるところですが、一度天啓を受けた我々を止めるものなどありはしないのです。
偉大なGoogle先生の力を借りて、あっというまに強力な「軸」を決めることが出来ました。すごいねインターネット。それでは、いよいよアプリの企画です。
心理学用語。精神的回復力、抵抗力、復元力、耐久力とかそんな意味。現代社会において発生しまくるストレスを、跳ね返したり、いなしたりして自然的に治癒する力らしい。
一般的にメンタルヘルスケアというのは心の健康を保つためにではなく、すでに疲れてしまった心を元気にするための方法です。しかし、我々が目を付けた「レジリエンス」とは、ストレスや変化へ適応することで、自分の心の元気を「自己管理」するための方法となります。「レジリエンス」とは「習得可能な技術」であり、以下の3つのステップでの訓練により「強いレジリエンス」を手に入れることが出来ます。
- 精神的な落ち込みから抜け出す
- 心理状態を回復させる
- 失敗を教訓化する
なお、「レジリエンス」を身につけるため方法は、すでに確立された技術であり、多くの書籍で紹介されています。各ステップの詳細な解説や訓練方法も紹介されていますので、興味のある方は本屋へ行ってみましょう。
企画当初は、レジリエンス全般をトレーニングするためのアプリがいいのではという声もありました。しかし、まず必要なのは「切り替え」なのではという意見が多かったため、今回は「レジリエンス」取得第1ステップとなる「精神的な落ち込みから抜け出す」を補助するアプリを作ることになりました。題して「脳内裁判」。
このアプリは、日常的に発生した小さなイライラを、裁判という形式で「あーだこーだ」することで、脳内から放り出すためのアプリです。まずは、イライラしちゃったことを「原告の主張」として記入してみましょう。
某メッセージツール的なUIが表示されますので、思ったことを「あーだこーだ」と記入してください。
記入の際には、原告の主張(イライラの原因)を肯定する「検事」と、否定する「弁護人」、双方の立場から意見を言い合う形をとります。大切なのは、自分の脳内に第3者的な視点をいれて、自分本位な意見だけで気持ちを「いっぱい」にしないことです。
意見が出そろったら「判決文」を作成しましょう。
過去の判決も、時間がたつと気持ちが変わることがあります。そんな時は、再判決もできます。
実際に仕事をしていると、どんな人でも失敗をすることはあります。しかし、同じ失敗をした人でも、長期にわたって調子を崩してしまう人、素早く次のアクションに切り替えれる人等、様々な人がいます。当然ですが、切り替えの早い(上手い)人の方が「レジリエンス」に優れているといえるでしょう。
人は、何らかの強いストレスを受けたり大きな失敗をすると精神的に落ち込み、不安や心配、怒りなどのネガティブな感情に支配されてしまいます。そのような状態では、前向きに物事を考えることなんてできません。そんな時は「脳内裁判」で気持ちを切り替えてみてはいかがでしょう。
というわけで、当初の壮大な目的からはだいぶ後退しましたが、分科会メンバーの力を合わせてなんとか結果を出すことが出来ました。次のチャンスがあれば、もう少し医療の知識を増やした上で、センサー活用を視野に入れたアプリを開発してみたいと思っております。
なお、今回のアプリの開発についてはハイブリッドな方々に、多大なご支援をいただきました。大変感謝しております。ありがとうございました!!